2010年10月3日日曜日

iPad向け読書ビューアのインターフェイスを比較する

●続々登場するiPad向け読書ビューア
 さまざまな用途に利用できるアップルのタブレット端末「iPad」において、発売当初からとくに注目を集めている使い道といえば、電子書籍の読書端末としての用途だろう。全画面表示であればほぼB5サイズ、横にして見開き表示にすれば単行本サイズの面積が確保できるとあって、ほとんどの本で原寸大に近い表示サイズが維持できる。App StoreのBookカテゴリにアクセスすると、単体のビューアのほか、電子書籍の販売ストアと一体化したビューア、さらにはビューアと電子書籍タイトルが合体したものまで、さまざまなアプリがラインナップされている。


iPad
 しかし、これら電子書籍ビューアの操作方法は千差万別だ。例えば画面の端をタップした際に、ページが次に送られる場合もあれば、逆に1ページ戻る場合もあるなど、本のナビゲーションでもっとも重要と思われるインターフェイスですら挙動は統一されていない。紙の本とは異なる電子書籍ならではのメリットを云々する以前に、肝心の読書に没頭しづらい場合も少なくないのが現状だ。

 そこで今回は、現在App Storeで販売されている主な読書ビューアについて、インターフェイス周りを中心に、前後編に分けて比較を行なってみたい。対象となるのは単体のビューアと、販売ストアと一体化したビューアの2種類で、日本語表示が可能なことを条件に代表的なものをリストアップした。書籍とビューアが一体化したアプリについては数が多いこともあって今回は対象外とした。

 なお、各ビューアで動作する電子書籍タイトルすべてについて挙動を試すのは物理的に不可能であるため、別のタイトルでは挙動が異なる可能性があることを、予めご容赦いただきたい。今回のレビューで試用した具体的な電子書籍タイトルについては、各ビューアおよびアプリの説明中に記した。

●iPad向け読書ビューアに求められる機能を整理する
 比較を行なうにあたり、iPad向けの読書ビューアに求められる機能を、3つに分けて考えることにする。具体的には以下の(A)(B)(C)の3つである。

(A)読書インターフェイス(利用頻度高)
(B)読書補助インターフェイス(利用頻度中)
(C)その他読書に必要となるインターフェイス(利用頻度低)

 まず(A)についてだが、「ページをめくる」という、純粋に読書のための行為を指す。物理的な操作ボタンのないiPadにおいては、画面の端をタップ、もしくはスワイプすることによってページがめくられるわけだが、たったこれだけの操作でありながらビューアごとに挙動が異なるのは、冒頭に述べた通りである。

 ページめくりが左右どちらの手でも行なえることも重要だ。iPadはハードウェア自体にそこそこの重量があり、片手であれ両手であれ長時間ホールドし続けるのは厳しい。それが故、疲れたら反対の手に持ち替えて操作を続ける場合も少なくないと考えられる。従って、めくる/戻るいずれの操作も、左右両方の手で行なえることが望ましい。余談だが、ハードウェアが289gと軽量なKindle2において、めくるボタンが両側にあるのに対し、利用頻度の低い戻るボタンが左側にしかついていないことは、こうした事情と併せて考えると興味深い。

 もう1つ「現在のページ位置を確認できる」ことも、基本的な要件として(A)に加えたい。紙の本を読む際は、本の厚みに対して半分以上を読んだとか、いまが150ページだから残りは約50ページといった具合に、残りのページ数を意識しながら読みすすめる場合が多いからだ。読書中に無意識に行なっているという意味でも、後述の(B)とはやや性質が異なるため、(A)の要件に加えるのが望ましいと考えられる。

 (B)については「しおりを挟む」、「任意のページに直接移動する」など、読書の合間に行なう行為を指す。ページをめくって本を読み進めるという純粋な読書行為とは違うが、本を開いた状態のまま実行する行為、と定義すればよいだろう。電子書籍ならではの「ページの明るさや輝度を変更する」、「文字サイズを変更する」、「メモを書き込む」、「単語を検索する」といった機能もこれに含めたい。

 これらの機能で意識しておかなくてはならないのは、常に表示されていると、かえって読書体験が阻害されかねないこと。せっかくの豊富な補助機能が、読書に集中できない要因になっては本末転倒である。よって、通常は表示オフ、思い立ったらシンプルな操作で呼び出せることが必須条件となる。

 (C)についてだが、具体的には「読んでいる本を閉じて別の本に交換する」という行為を指す。紙の本であれば書庫に足を運んで手持ちの本を書庫に戻し、新たな本を取り出すというアクションだ。前述の(B)と異なるのは、本を完全に閉じた状態で行なう点にある。

 このほか、「縦書き横書きを切り替える」「ルビを表示する」といった日本語特有の機能、さらに「音声で読み上げる」、「外部辞書と連携して語句の検索を行なう」といった付加機能も考えられるが、話が複雑になるので今回は言及しない。複数デバイスで共有する際の台数制限や課金体系といった点も含めて、機会があればまた改めて取り上げたい。

続きは下記サイトで・・・

◆iPad向け読書ビューアのインターフェイスを比較する(前編)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/20100729_383964.html

◆iPad向け読書ビューアのインターフェイスを比較する(後編)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/topic/feature/20100730_384198.html

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